露に濡れた紫陽花の花を初めて見たのは東京に来てからでした。
その紫陽花は艶やかで、あまりの美しさに私は軽い衝撃を受けました。
そのことが切っ掛けに成ったのかは分かりませんが、梅雨の季節になると
いそいそと紫陽花の花を探し求めて撮影に出かけます。
7月の初めの夕方、大きな家の裏に沢山の種類の紫陽花の花が咲いていました。
逆光に依り直接光は遮断されフラットな光の中に包まれて、ベージュ色と青紫色が
混ざっている珍しい渦紫陽花が密やかに咲いていました。
少し朽ちかけていたのか水分が足りていなかったのか判然としませんが、まるで
プラスチックのような質感を持った、少し変わり種の紫陽花のように感じました。
唯只沈黙しているように見える紫陽花でも、少しづつなのか突然変異なのか、あるいは
新種なのかは分かりませんが、沈黙の存在は何時でも不確かな存在だと痛感しました。
copyright kukuminato youichi
More〜に「不確かな沈黙(渦紫陽花編)」のカラー写真と「巧妙な魔法(紫色の紫陽花)」
があります。
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